P2P ファイル共有の発展の鍵は経済学にある

未開社会の経済

アマゾン奥地に見られる未開社会では人々は狩猟により得られた獲物を分け合い生活している。食糧の分配は狩りで獲物を仕留められなかった者や狩りに出なかった者を問わず皆平等に行われる。しかし狩りは常に危険が伴うため、なるべく狩りに出ずに食糧を分け与えてもらおうとする者が現れる。ところが全員が狩りをやめてしまい、やがて食糧が尽きてしまうといったことは起こらない。なぜなら彼らの社会では狩りで獲物を仕留めた者は英雄として称えられ、逆に狩りに出ずに獲物を分け与えてもらってばかりいる者は相応の不名誉を被るからである。

Winny に見られる P2P ファイル共有ネットワークでは人々はファイル交換によって得られたファイルを分け合い生活している。ファイルの交換は頻繁にアップロードしている者やダウンロードに徹する者を問わず皆平等に行われる。しかし違法ファイルのアップロードは常に危険が伴うため、なるべくアップロードせずにダウンロードに徹しようとする者が現れる。ところが全員がアップロードをやめてしまい、やがてファイルの供給が尽きてしまうといったことは起こらない。なぜなら彼らの社会では需要の高いファイルをアップロードした者は ネ申 として称えられ、逆にダウンロードに徹する者は相応の不名誉を被るからである。

ものを交換する経済

経済が発展すると、人々はものを交換することを始めた。ものを効率的に生産するには分業が欠かせない。彼らは自分の得意とするものを生産することに専念し、自分で生産できないものはそれを生産している誰かを見つけ自分の生産物と交換することで得ることができた。

P2P ファイル共有が発展すると、人々は BitTorrent でファイルを交換することを始めた。ファイルを効率的に交換するにはファイルをピースに分割した上での分業が欠かせない。彼らは自分の持っているピースをアップロードし、自分の持っていないピースはそれをアップロードしている誰かを見つけ自分のピースと交換することで得ることができた。

貨幣の経済

さらに経済が発展すると今度は貨幣が登場した。貨幣はものの価値を統一的な尺度で測ることができ、さらにものを貨幣に換えて保存しておくことによって時間を超えてものの交換が行えるようになった。これによりものの交換はさらに広い範囲で行われるようになり、やがて市場が形成されるようになった。

さらに P2P ファイル共有が発展すると今度は貨幣が登場した。貨幣はファイルの価値を統一的な尺度で測ることができ、さらにファイルを貨幣に換えて保存しておくことによって時間を超えてファイルの交換が行えるようになった。これによりファイルの交換はさらに広い範囲で行われるようになり、やがて市場が形成されるようになった。

これまでの経済、これからの P2P

貨幣が登場すると商人が現れる。商人は地理的に離れた社会を行き来し、ものの価値の違いを利用して利益を得る。また貨幣を金利を付けて貸し出す銀行や、インフレ/デフレをコントロールするための経済政策、あるいは労働の対価として賃金を得る労使関係が生まれた。経済に関する思想もいくつも生まれた。

これからの P2P ファイル共有はどのように発展していくだろうか。現時点では経済の歴史における貨幣が生まれた年代にいる。それから経済は幾度も進化を遂げ、複雑怪奇なメカニズムを生み出した。この歴史をなぞるように P2P ファイル共有が進化していくとするならば、その進化をもたらすのは情報科学と経済学の両方に通じた人なのだろう。

参考